DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「あたし達みたいな機械人形に頼らないといけないほど人手不足らしいのに、あなたみたいに若い一般兵が休暇なんて今とれるのかしら」
「……正当な手続きは取っています」
ミカエルの視線を真っ向うから受け止めて、アレックスは返す。
何故、そんな事を聞くのだろう。自分を脱走兵か何かと思っているのだろうかと、そんなことがチラと頭を過ぎった。
終りの見えぬ戦争、いつ故郷に家に戻れぬとも知れない日々に耐え切れず逃げ出す者も確かにいる。
もちろん見つかれば重罪だ。
だからそういう者は裏世界に身を潜めるか、僻地を転々として捜索から逃れようとする。
知人や身内の手を借りて身を隠したり遠くへ逃亡するケースも多い。
そんな者の一人と思われたか……そう思ったアレックスだったが――
そんなアレックスの返答に、ミカエルは何故かクスリと笑みを溢した。
「違うわ、そんなことを聞きたいんじゃないのよ」
そう言いながら伸ばされたミカエルの手が、アレックスの胸元に揺れるプレートに触れる。
「これ……この照明装置だってまだ一般兵にまでは分配されていない最新装備」
細い指でその金属プレートをつまみ、ミカエルはそれをアレックスの目の前まで持ち上げて見せて、薄らと目を細めた。
「アレックス……一般兵なんて嘘でしょう。あなた、一体何者?」