DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「いや、すまない……とにかく、帰れるとは思っていなかったが帰れる事になって気が緩んだのだろうな……気が付いたら取り残されていた。少女も消えていて、俺は一人で戻ろうとしたんだが何分暗くて地理が掴めず迷ったらしい、どう来たものか……こちら側に来てしまっていた」
「そう……要塞にはこちらの兵も集まってたはずなのに……見落としたのかしら」
リディル要塞があるのは、ディラハンとエルカイザの境を区切るように続く峠の中間地点。周りは岩場が多いと聞く。夜間で見張りの兵が寝ていた可能性もあるし、闇に紛れて岩場の影を移動している人影は確かに見つけにくいだろう。
実際に行った事はないが、主要地点の基本的地理情報は脳内にインプットされている。それを思い起こしながらミカエルはそう推測した。
それにしても、要塞にはウリエルも居たはずなのに……何かに気を取られてでもいたのだろうか。
「やみくもに歩いているうちに疲れで動けなくなってしまったところをその少年が見つけてくれて……ここへ連れてこられて手当てをしてもらえた。ここの人たちには本当に感謝している」
リディルでの話をひとしきり話した後、ディラハン兵はそう言ってジノとアンナ達を見渡して、礼をするように頭を下げた。
「勿論貴女達にもだ……エルカイザの民や兵士にこんなに慈悲深い人間がいるとは思わなかった」