DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「リディルに集まってたディラハンの兵士は皆撤退したのだろう?」
確認するように視線を向けたジョセフに向け、ディラハン兵は頷く。
男が気を失って再び意識を取り戻した時にはすでに他の兵の姿は一つも見当たらなかった。
「ええ、貴方が嘘をついてるとは思わないから、あそこにディラハン兵はもう居ないはずなんだけどね……何故かリディルと連絡がつかないらしいの。だから様子を見に行けって……」
ミカエル自身、疑問に感じているのだろう。説明しながらもその口調には僅かに戸惑いが滲む。
けれどすぐに唇の端を上げ、ミカエルは
「でも、好都合だわ。これでおおっぴらにリディルへ行く理由が出来たもの。貴方のことも送ってあげるわよ」
ディラハン兵へと微笑んで見せた。
確かに、この場で見逃したとしても、彼が一人で祖国に辿りつくのは困難だ。しかしミカエルが手助けするというのならそれは充分可能だろう。
「そんなことまで……本当に、いいのか?」
驚きと感嘆を浮かべた瞳で見上げるディラハン兵の視線を真っ向から受け止め、ミカエルは微笑みは崩さないまま
「ついでだもの」
そう言って軽く頭を振り、長い金糸の髪を揺らした。そして軽く男の肩を叩き
「そういうわけで、明日の朝早くに発つわよ。死んだ事になってるんだからあまり人目につくわけにもいかないでしょ? だからもう休んだ方がいいわよ」
言いながら他の皆のほうへと向き直る。