DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
無理もない。女の身一つで、ただただ王のために、国のために、常に見えない様々な悪意や陰謀とも戦っておられるのだ。
気丈に見せてはいても、その心労たるや並大抵のものではないだろう。
「ご安心を」
自分のその言葉が、少しでも王妃の心を慰められればよいと願いながら、再度深く頭を下げ、ラファエルは部屋を後にして階段へと向かった。
――七年前。
ディラハンへの大規模な遠征が計画された。
計画の発案者は、第一皇子、エレンツ・エルカイザ。
当時エレンツ皇子は、代々王自らが指揮をとるエルカイザ親衛隊で、病に伏せる王の替わりに指揮を執っていた。
濃紺に白い十字とラインをあしらった他の兵と区別され、白地に濃紺の印を背負うエルカイザ親衛隊は蒼十字騎士団とも呼ばれ、エルカイザ軍の頂点に君臨していた。
王に替わり指揮を執っていたエレンツ皇子は勇猛果敢。また知略にも富み、人望も厚かった。