DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>

大規模な戦闘で更なる民を失い、最悪ディラハンへの敗戦もあるかもしれないと、王妃は危惧の念を表したが――

長らくの苦しい生活に耐えかねていた国民や、大きな変化の見えぬ戦況に飽き飽きしていた兵士達の多くはエレンツの計画を支持した。

犠牲を出してでも、先の見えぬ現状を打破することを望む気持ちの方が強かったのだ。

計画は軍議でも大多数の賛同評を得て承認され、遠征は実行されることになった。

当時ミカエルはまだおらず、存在していた守護天使は三体。王宮の守護にガブリエルが残り、大規模な編隊を組むために手薄になる西以外の国境地帯での戦闘に対応するためにウリエルがアルマに残り、ディラハン遠征にはラファエルのみが同行することになった。

国民からの大きな歓声に見送られ出発し、難なく国境を越え、ディラハンへと足を踏み入れた。

そして、国境を越えて僅かばかり進んだ地点で、斥候によりディラハン側の大編隊が先に待つことを知る。

これだけの大きな動きを見せたのだから当然といえば当然。

これにより、いよいよ大規模な戦闘になることは決定となる。

予想範囲内。避けては通れぬ必然。

焦ることなく、野営を張り戦闘に備え士気を高め準備を整える。ディラハン側も焦りを見せることはなく、こちらの動きを待つかのごとく、自ら動く気配はなかった。

そして、決戦を控えたその夜に。

それは、暴かれた――


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