DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
王のため、国のためと謳われた大遠征の真相を、王妃からの極秘通信でラファエルは知った。
王妃にその情報をもたらしたのは、王が健在のころずっとその右腕として王を支えていた者。
王が倒れてからは、蒼十字騎士団で指揮を執るエレンツ皇子の補佐として副長を務めていた男。
カイゼル・シュトルツ。
王にも皇子にも最も近い場所にいた男からだからこそ、その情報の信憑性は高く、疑う余地のないものだった。
大遠征の本当の目的。
それは、決着をつけるためではなく、こともあろうか、利権を分け合うことを条件に敵国と手を結び、王位を奪う為にエレンツ皇子が企てた大芝居なのだと。
待ち構えているように見えるディラハンの軍隊は、実際は、戦闘前に見せかけの交渉で降伏させたかのように思わせ、そのまま合流して王位継承を決定付けるためにアルマヘ向かう手筈になっているのだと。
万が一、それが認められない場合、力づくでもそれを実行させるための援軍なのだと。
カイゼル・シュトルツはそれを裏付ける密書や、秘密裏に行われたディラハンとの金品のやり取りの情報も王妃へ告発した。
皇子よりも本来の王への忠誠が勝った故の告発だった。
誰にも気づかれぬよう、闇に紛れ隊から離れてとった王妃との通信。
最期まで王妃は王を悲しませたくないのだと声を震わせていた。
そして、苦しい決断を下された。