DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


「誰であろうとお通しは出来ません」

目を閉じ、静かに機械的に、決められた言葉を繰り返す。

小さな嘆息とともに向けられた視線が、沈黙と共にぴたりと自分に定められたのを感じ、ラファエルは瞼を開けた。

「――何か?」

自身を映すその視線に問いかけると、色素の薄いガラスの中心にある碧玉が一瞬その円周を増したように見えた。

だが、すぐにその上に被せられた長い睫がその先の変化をラファエルに見せることを許さない。

伏せられた瞳の変わりに、品のある唇が薄く開く。

「……君は、父に会えるのかい?」

責めるような口調ではない。

何故か、懇願にも似た色を宿した音色で問われ、ラファエルは首を傾げつつ答える。

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