DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
ひとり呟きながら、水差しを取りにカウンター奥のドアをくぐり薄暗い廊下へと足を踏み入れる。
店から家屋へ繋がる細い廊下の途中にちょっとした水場が作ってあり、水場の上に打ち付けた板切れの棚の上に、掃除道具が置いてある。
その脇に置かれた白い陶製の水差しを手に取り、蛇口を捻った。
ちろちろと、細い楕円の空洞に水が流れ落ちていくのを眺めながら思案にふける。
二つ返事で来客の要望に答えを返した。
旧友の息子の頼み。断る理由などない。寧ろ、自身もずっと気にかけていたことだった。
隠居をうたってはいるが、いざという時を考えての備えを怠ったこともない。