DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
そしてコーエンもそんなガブリエルの杞憂に気がついていた。
「何も気にすることはないんだよ。ガブリエル。お前は十分役に立っているとも。お前がいなければ他の娘達も完成は出来なかったし……今もこうしてお前から得たものからまた新たな姉妹が生まれようとしているのだよ?」
「本当に……!?」
なだめる様にコーエンの口から零れた猫なで声に、途端、ガブリエルの表情が明るくなる。
「ああ、そうだとも。もう完成間近だからお前には言っても良いだろう。新しい家族が増えるのだよ、ガブリエル」
わかりやすい反応を見せたガブリエルに、コーエンは満足げにニヤリと口角を上げて頷いた。
「お前から得たこれが。新しい命を与える鍵だ。それがどういう事かわかるかい? お前は新しい家族を得る……それはこの国がより強固になるということ。今は忙しい身の妹達の負担も減らせるし、もちろん王妃様もお喜びになる」
たった今、ガブリエルから採取したもの。透明なビーカーの中にあるそれをコーエンが揺らして見せると、ガブリエルはその鉄錆色した液体をうっとりと見上げる。
「まあ……まあ。それが本当ならどれだけ素敵かしら」
僅かに頬を赤らめて心底嬉しそうなガブリエルにコーエンは目を細めた。孤独な身上揃いの守護天使の中でも、ガブリエルは特に家族への執着心が強いように見える。
「本当だとも。近いうちに会えるだろうからね。全てお前のおかげなのだよ。だから何も案ずることなく楽しみにしているといい」
「ええ……楽しみだわ。本当に……。ありがとうございますコーエン博士。なんだか気持ちが軽くなりました」
「それは良かった。では今日はもう戻ってゆっくりするといい」
「はい」