DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「待ちなさい。あなたは私の言ったことをちゃんと聞いていたのですか?」
すぐに、柔らかにたしなめるような声に呼び止められた。
「私はあなたにも休みなさいと言ったのですよ」
「でも……お母様……」
ハッしてと振り返ったガブリエルの目に映った王妃は怒ってはいなかった。先ほどと変わらず、笑みを湛えた表情のままゆっくりと、言葉を紡ぐ。
「いくら貴女達が人間とは違い強靭な身体をもっているといっても、休むことも必要です。貴女も今回随分沢山のサンプルを提供した後なのですから……。大丈夫です、今やアルマにさえ攻め込める者はいないのです。少しの間貴女達が席を外したとて、この王宮を危機が襲うことなどありえません」
「お母様……」
嗚呼。なんと慈愛に満ちた方なのだろうと、ガブリエルは胸が熱くなり言葉に詰まった。
元々身寄りもなく、生きることすら困難な境遇にあった自分達に生きる場所と強靭な身体を与えてくれたばかりか、高貴な身分にありながら、自分達が母と呼ぶことすら許し。
そして、兵器である自分達の身体まで気遣うその優しさ。
「何も心配要りませんガブリエル。貴女が私の為に役に立とうとしてくれている気持ちは分かっているし、とても嬉しいわ。でも、貴女は十分私に力を貸してくれています。ですから今日は素直に私の言うことを……」