DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
感嘆の眼差しを向けるガブリエルの視界の中、ふいに、王妃が唇の動きを止めた。
「……っ」
「お母様!?」
こめかみに手を当てた王妃がふらりと揺らいだのを見て、ガブリエルはすぐさま駆け寄りその細い身体を支える。
「どうなされましたか!? 大丈夫ですか!?」
思えば、自分達を気遣う以前に……王妃自身ずっと王の看病につききりなのをガブリエルは思い出す。そう、自分達などよりずっと疲れているに違いないのに。
「…………大丈夫です。少し眩暈がしただけです。もう何ともありませんよ」
静かに、肩を支えるガブリエルの手に自らの手を重ねて退けると、王妃はすぐに体勢を立て直しガブリエルに背を向けた。
「ですが……お母様……」
「貴女が下がった後、私も少し休みますから。お願いよ、ガブリエル。これ以上私の心配事を増やさないで」
背は向けたまま、けれどあくまで優しい声音でそう言う王妃にそれ以上かける言葉が見つからず、ガブリエルは項垂れる。