DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>

これ以上、王妃の手を煩わせては更に疲れさせてしまう。

そう自分を納得させ、ガブリエルは不本意ながら

「分かりました。あの……お母様も、ゆっくりお休みくださいませ」

やっとのことでそれだけ言い、静かに部屋を後にした。

気丈な王妃はきっと、自分達をも心配させないように弱っている姿を見せるのを頑なに拒むだろう。ならば自分達に出来ることはそれを信じているふりをして王妃の心の負担を減らすことだけしかない。



――なんて……無力なのかしら。



妹達のように国の為に戦う力もおぼつかないばかりか、王妃を直に支えることも叶わない。

そんな自分に嘆息しつつ、人気のない廊下を歩き王宮内の自室へと向かう。任に戻ることは許されなかったが、王宮内にいるのにかわりはない。

入り口に立たずとも、何か不穏な事態が起きればすぐに察知できるし対応も出来る。

ガブリエルをはじめ、それぞれの守護天使達に用意された部屋は、王宮の中心から西側に伸びた棟の一階。端の方にある。

階段を下りて西へ斜めに折れる廊下を曲がったところで、そのずっと奥の方に人の気配を感じて、ガブリエルは顔を上げた。

部屋が並ぶ側とは廊下を挟んで向かい側の窓辺に、もたれるように佇む人影。


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