DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
言いながら目を細めて鳥を眺めるラファエルの表情には何かを懐かしむような色があるように見えて。
「知っている鳥なの?」
ガブリエルが尋ねると、ラファエルは小さくかぶりを振り
「いや、違うと思う……似たようなのは沢山いるし、あんな小さな鳥がそんなに長く生きるとは思えないし……な」
そう言って目を伏せると、ガブリエルの肩の上に乗せたままだった手を降ろし、窓辺から離れて自室の方へと踵を返した。
「せっかくゆっくりしてくれという母上の心遣いだ。貴女ももう休んだ方がいい」
「ええ」
去り際にラファエルが振り返り告げた言葉にガブリエルはニコリと花の様な笑みを溢して答えると、彼女が部屋に入るまで見送って、そして再び窓の外へと目を向けた。
窓の外では、まだ小鳥はじっと木の上で身じろぎもせずこちらのほうを向いている。
ラファエルが守護天使になる前の話を以前王妃に聞いたことがある。彼女は病で手足が動かせず寝たきりの生活をしていたという。
もしかするとそんな彼女の部屋の窓辺に鳥が遊びに来ていたのかもしれない。部屋に篭りきりの少女にとってその存在は心慰めるものだったに違いなく。餌のひとつでもやっていたのかもしれない。