DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
ガブリエルは外の鳥をじっくりと観察してみた。ラファエルは違うとは言ったが、よく目を凝らしてみれば鳥の羽はどこかパサパサとしており若々しくは見えない。じっとしているのも老いて体力があまりないからかもしれない。
自分と違い、他の姉妹達は断片的ながら、過去の記憶も持っているという。あの鳥は守護天使になる以前のラファエルの記憶にある鳥ともしかすれば同じ鳥なのかもしれない。
「駄目よ」
知らず知らずのうちにそんな言葉が漏れていた。
「あの子を連れていかないで」
一瞬、この天使そのものの容姿を持つ少女の瞳に宿った何かを感じたか……不意に鳥は羽根を羽ばたかせ、慌しくそこから飛び去った。
「あ……」
目前から消えた愛らしい存在に、思わず小さな声をあげて、ガブリエルは窓に擦り寄った。そして、自分が一瞬抱いた気持ちに戸惑い、後悔の念に肩を落とす。
鳥は、そのほんの少しの敵意に気づいたに違いなかった。
あのような小動物は警戒心が強く、こんなに間近にみれる機会などめったにないというのに、惜しいことをしてしまった。
「でも……」
ガブリエルは唇を噛む。
不安になったのだ。
鳥を眺めるラファエルの目はどこか遠くを見ているようで、大切な姉妹がどこか手の届かないところへ行ってしまいそうな気がして――
やっぱり疲れているのかもしれないと。ガブリエルは短く溜息を吐き、言われたとおり休みを取る為に、手前にある自分の部屋に向かい廊下を歩いて戻る。
疲れを知らぬはずの身体なのに、僅か十数歩の距離がやけに遠く感じた。
