GAME
「ロボットではなくとも、俺がただ、人のようにしゃべったり動いたりするだけで、心がないものだ、ということを、どうやって否定するんだ?」

だってそんなこと、当たり前のことじゃないか…。

僕が黙り込んでいると、リョーマは歩き出した。

僕も付いてく。しばらくして、リョーマが言った。

「心は、どこにあると思う?」

僕は考えてみた。心臓?いやいや。脳だろうか。

「人が、部屋の中にいたとしよう。
その人の精神は少なくとも部屋の中のどこかにはあるだろうか。」

確かにそのように思われた。

それは、正しいことなのかも知れない。

「そう、かも知れないね。
その人は、その部屋の中にいると感じているから、心は部屋の中にあるんじゃないかな。」

「でも、それは、錯覚かも知れない。」

どういうこと?

「ゲーム、とりあえずRPGを想像してみてくれ。
自分はゲームの主人公になったつもりになり、仲間たちと冒険に出かける。
キャラクターを移動させる時は、まるで自分がそこを歩いているかのように思うときもある。
ゲームの世界の中に入り込んで、実際にそこにいるかのように感じる時もある。
俺たちが現実だと思っているこの世界もそんなものなのかも知れない。」

「そんなものってどういうこと?」

「俺たちの心は本当は別のところにあって、この世界での俺たちはそこでの俺たちが見ているただの夢なのかも知れないし、そこの住人が見せている、ヴァーチャルリアリティなのかも知れない。
あるいはそこは、俺たちの思考では測りきれない世界で、よく分からない仕組みで俺たちの体と繋がっているのかも知れない。」

「おもしろい考えだね。
リョーマは、どれが本当だと思うの?」

「さあな。」

何かを諦めたような表情をして言う。

「そろそろ戻ろう。
次の電車に遅れると、かなり遅くなる。」

そう言ってリョーマは来た道を引き返し始めた。

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