GAME
切符を買ってホームに入る。

駅員はいないし、設備もないのでキセルをすることもたやすいだろうが、僕たちはそんなことはしない。

僕たちはベンチに座った。

ホームにはあまり人がいなかった。

出発にはまだ時間があった。


しばらく僕たちは黙っていた。

リョーマがしゃべりださなかったので、僕も話しかけなかった。僕はただ、美しい星を眺めていた。

人がまばらになってきた。リョーマが口を開いた。

「俺はさっきまでの俺が俺であったということを証明することができない。
いや、さっきまでの俺、というのは本当にいたのか?
記憶に残っている世界は、ただの錯覚かも知れない。
俺は何も分からないんだ。何も。考えるほどに分からなくなっていく。」

リョーマは自分の太ももに肘をつき、両手に顔をうずめていた。

「そんなこと考えない方が楽しいんじゃないかな。今日はリョーマのおかげで本当に楽しかったよ。僕は幸せだよ?」

僕はまた、リョーマが分からないでいた。

リョーマは突然立ち上がった。

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