至近距離恋愛 -Hero-
あたし達は、派手な外観のホテルの自動ドアを潜った。


中に入ると、すぐ目の前の壁に部屋の写真が掲載されたパネルがあって…


稔は迷う事無く一番安い部屋を選んで、ボタンを押した。


そして、あたしの手を引きながら部屋に向かった。


稔は、いつだってあたしの意見なんて訊かない。


デートの場所、待ち合わせの時間、食べたい物や、ホテルの部屋…。


その全てを稔の意思で勝手に決めて、あたしは彼の行動に従うのが当たり前になっていた。


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