至近距離恋愛 -Hero-
行為が終わった後、息を整えた稔が口を開いた。


「杏里、金貸して」


「え……?」


戸惑いながら稔を見ると、彼は眉を寄せながら事情を話し始めた。


「来週、試合があるから、テニスシューズがいるねん」


稔はそう前置きして、今履いているテニスシューズがボロボロだから、新しい物が欲しい。


だけど金欠だから、お金を貸して欲しいと言った。


「な?頼むわ、杏里!」


稔は最後にそう言って、あたしに優しい笑みを向けた。


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