至近距離恋愛 -Hero-
雷は国道から住宅街を抜けた後、山道に入った。


柔らかい陽射しを浴びながら風を切って走るバイクに乗っているのは、すごく気持ち良い。


時折、バイクが曲がるのに合わせて体重移動をしながら、周りの景色を見ていた。


家を出て30分くらい経った頃、雷は山の中の川添いにバイクを停めてエンジンを切り、ヘルメットを取ってから笑顔で振り返った。


「着いたから降りてイイで♪」


あたしはバイクから降りてヘルメットを雷に渡し、周りをグルリと見渡した。


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