至近距離恋愛 -Hero-
「何で川なん?」


「何となく♪」


雷は楽しそうな表情で言って、ジーンズの裾を限界まで捲り上げた。


「え、まさか入るん?」


「当たり前やん♪」


悪戯っ子みたいな笑みを浮かべた雷が、砂利道を駆け降りて川に足を浸ける。


「うわっ、冷たっ!!」


その途端、彼は慌てて川から出た。


「当たり前やんか!」


口では呆れた言葉を吐きながらも、笑いが込み上げて来る。


「杏里も来いよ!」


そんなあたしに、雷が満面の笑みを向けた。


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