Virgin Snow
あたしが真由美を見付けるよりも先に、彼女があたしを見付けてくれた。


「樹里!こっち♪」


真由美に手招きされたテーブルに近付くと、彼女を含めて三人の女の子と、四人の男の子がいた。


何よ、これ……


まるで合コンじゃない……


あたしが真由美に目で合図すると、彼女はバツが悪そうに笑ってからあたしを皆に紹介した。


「この子は羽山樹里!あたしと同じ大学なの♪」


語尾のトーンを可愛く上げて楽しそうに話す真由美の声が、あたしの耳を刺す。


今日はそんな気分じゃないのに……


「ごめん……。あたし、帰るね……」


「えっ?樹里!?」


皆に背中を向けた瞬間、あたしは腕を掴まれてしまった。


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