Virgin Snow
嵐は小さくため息を吐いて、呆れたような声で言った。


「何だよ、それ……。樹里が俺を避けてたんだろ?」


そうだよ……


だけど……


だけどね……


あたしはずっと、嵐からの連絡を待ってたんだよ……


「嵐が浮気するからじゃん!それなのに、変な嘘ついてっ……!」


違う……


本当に言いたいのは、こんな事じゃないのに……


それなのに、止まらない。


「最近は……あたしといてもずっと怠そうだしっ!!全然『好き』とか言ってくれないしっ……!っ……」


あたしは溢れて来る涙を拭こうともせずに、嵐に叫び続けた。


「もっ、やだぁ……っ……!」


そして、とうとう何も話せないくらい泣き出してしまった。


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