Virgin Snow
「俺が肝心な事言ってやれないから、樹里は不安だったんだよな?気付かなくてごめん……」


わかっていないのは、自分(アタシ)の方なのに…。


「嵐はどうしてあたしに『好き』って言ってくれないの……?」


先に謝らなきゃいけないのに、そんな事しか言えなかった。


「いっつも不安だったんだよ!あたしはいつでも『嵐が好き』って言ってるのに、嵐はどうして『好き』って言ってくれないの!?」


きつい言い方……


あたし、最低だ……


不安と自己嫌悪に唇を噛み締めたあたしは、嵐からの返事を待たずにベンチから立ち上がった。


「もうイイ……。嵐なんて……もう知らない……」


そして小さく言って、公園の外に向かって歩き出した。


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