Virgin Snow
「今年も……って、初めてじゃない?」


「2年前の今日も降ってたよ!しかもその時も初雪!」


「嘘……」


嵐の言葉で記憶の糸を手繰り寄せたけど、ちっとも思い出せない。


「……本当に降ってたの?」


「ん!でもすぐ止んだしな〜!それに樹里はいっぱいいっぱいだったから、わからなかったんじゃねぇの?」


「え〜っ!!」


「まぁイイじゃん♪」


笑って宥めてくれる嵐に、あたしは膨れっ面をした。


「何か悔しい……」


そう言って少しだけ拗ねていると、彼があたしの頭をポンポンと叩いた。


「樹里……。これからもずっと……毎年一緒に見ような!」


「え?何を?」


あたしは嵐を見上げて、小首を傾げながら尋ねた。


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