Virgin Snow
「座って待ってな。あいつ、呼んで来るから」


奥の部屋に案内されたあたしと嵐は、ソファーに座った。


男の人がいなくなった後、不安げに嵐を見た。


嵐はあたしの頬をキュッと抓(ツネ)ると、いつもみたいに悪戯な笑顔を浮かべた。


その笑顔で、少しだけ緊張が解けた。


「嵐♪」


程なくして嵐の名前を呼びながらリビングに入って来たのは、あの日彼と一緒にいた女の子だった。


「あっ、彼女?」


「うん♪こいつが、この間言ってた羽山樹里!」


その女の子に尋ねられた嵐は、笑顔であたしを紹介してくれた。


あたしは相変わらず状況が把握出来ないままだったけど、とにかく慌てて頭を下げた。


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