Love story's
降り注ぐ蝉時雨がすっかり耳に慣れた、8月下旬。


あたしは夏休みを利用して、人生二度目の引っ越し作業に励んでいた。


初めての引っ越しの時はまだ幼くて、その頃の事は何となくしか覚えていないけど…


今回の引っ越しは荷造りもほとんど自分で済ませたから、日を追う毎に引っ越しするんだって強く実感していった。


「紫、これも運んじゃってイイの?」


「うん、ありがとう!」


「どういたしまして」


段ボールを指差して訊いた千晶に頷くと、彼女は笑顔でそれを持ち上げた。


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