ゴーストオブアイデンティティー
桐の想像出来るところによれば、これは単なるメッセージ。足跡に過ぎない。

幸福を呼ぶ為のある種の「儀式」の様なもの。

それは病院の時で実証済みだ。

幸福の為なら、殺人すら何事でもない。現に、あの病院で生き残ったのは桐と幸福の二人のみ。

最悪を免れたのは、たったの二人だ。其れ程の…奇跡。


今思い出しても鳥肌が立つ。

桐は、生きている。この通りだ。


しかし―――


それは幸福が桐を助けたからであって、もし助けられる事が無ければ、桐は死んでいた。


あの瓦礫の様にモノとなって、有無を言わさず殺されていた。

「ねぇ、ムト」


急に焦燥が桐の中を駆け巡り、思考を一時中断してムトに問う。

滲み出す、不安。訳もなく、焦りに駆られる。


気が付いた事。
忘れていた事。

…否。





忘れようとしていた事。


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