幕末Drug。


一度両手を合わせると、目の前のお団子の串を一つ取り、美味しそうに頬張る沖田さん。
その様子に溜息を一つ吐くと、土方さんも串を一つ取り口へと運ぶ。

『頂きまーす。』

雛も続いて串を手に取る。

『…ホラ、高杉さんも早く食べないと無くなっちゃうよ?』

沖田さんに言われ、私もお団子に手を伸ばす。

手作りのお団子はモチモチしていて、とても美味しかった。
私も雛も仕事を終えたばかりなので、次から次へとお団子を平らげていく。

『…凄い食欲だな。』

土方さんが私と雛を交互に眺めながら小さく笑った。

『うっ…す、すいません。』


『良いって良いって。沢山食べな?…ハイ。』

沖田さんが私の前にみたらし団子を一本差し出す。

『ありがとうございます…。』

そんなにガッついてたかな…と少し反省するも、お腹が空いていては何も出来ない。

『美穂、美味しいねーお団子!』

人目を気にせず食べ続けられる雛が、とても羨ましい。

それから暫く、私達は美味しいお茶とお団子をお供に、互いの事を語り合った。

沖田さんにはとても気が強いお姉さんがいる事、沖田さんと土方さんは、近藤さんが開いていた剣術道場で出逢ったという事、土方さんも近藤さんも農民の出身だという事などを聞いた。

『はぁー…もう食べられないな。』

大皿に残り数本となったところで、沖田さんがお腹を摩りながら背もたれに凭れ掛かった。


『かなりの量…だったな。君達はもう良いのか?』

土方さんが大皿の端を押して私達の方へと寄せる。

『いえ…もう私達も流石に限界です。』


私がそう言うと、近くに居た藍さんが笑顔で歩み寄り大皿を下げてくれた。

『沢山召し上がって頂けて嬉しいです。残りは今お包みしますので、どうぞお土産にお持ち下さい!』

藍さんの言葉に、沖田さんが片手を振る。


『ありがとう。…じゃ、此処で待ってるね。』

『ハイ!』


藍さんは嬉しそうに店の奥へと入って行った。

『…で、どうするつもりだ?総司。』

土方さんが藍さんが入って行った店の奥へと視線を向けながら問い掛ける。

『…一先ず、時間を作ってお兄さんの詳しい情報でも聞かせて貰おうかな。』
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