緊急HR
『かっ……』


.●・..・●.・


柏倉の腹から、血が滴り落ちた。

血だらけの白衣は、更に深みを増し、本来の純白を完全に失った。


俺は、ここでようやく事態を理解した。


上沢の手には、先程彼女を傷つけたメス。

それを使い、歯を食いしばりながら柏倉の腹部を刺していたのだ。

『……返せ』

彼女は、理性を失った目で柏倉を睨みつけて言った。

『…な、に…』

『麻里を返せぇえぇえぇ!!!!!!』

そう叫ぶと、更にメスを奥に突き刺した。

『うぶっ…!!!』

柏倉は痛みに顔を歪ませた。

『か、上沢…やめろ!!』

そんな様子を見兼ねて、俺は上沢を柏倉から引き剥がした。

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