王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
「……俺の姓、知っているってことは、【宝玉の民】の末路も知っているんだろう?」
確認の為だけの、問い。
クラウンは頷き、紫煙の昇るキセルを燻らせた。
「…知っとるよ…。
【宝玉の民】が襲われた15年前のあの日から、わしはあんさんのこと知っとる」
視線を遠く、そこに何かが見えるかの様に送るクラウン。
クラウンの言った意味、それを知る為、ドルメックは次に紡がれる言葉を待った。
「15年前のあの日、雷電の民の里で一人暮らしとったわしは、精霊達が妙に騒いどるんに気ぃ付いた。
何事か思うて耳傾けてみたら、核石狙われて【宝玉の民】が襲われた言うてた」
一息つき、キセルを口に運ぶクラウン。
目一杯肺に吸い込み、ゆっくりと紫煙を吐き出す。
その姿は、少女の見た目らしからぬ老齢さを感じた。
「次の日、今度は少しだけ嬉しそうやった。
一人だけ、生きとったガキがおる言うて…わしと同じやなって、お仲間やなってさ」
ドルメックに向けて、
「嬉しないっちゅうねん…なぁ?」
と複雑な笑みを向けた。
「だから、その後仲間皆の墓作っとったのも知っとる。
正直わし自身と重ねとったんもあるし……」
「…俺もあんたの話聞いて、自分に重ねた」
ドルメックは俯き、クラウンに聞こえるか聞こえないかの声で呟いた。