王国ファンタジア【宝玉の民】-外伝-
聞こえたのかは分からないが、クラウンはそのまま話を続けた。
「墓作り終わって仲間救う決意して旅立つ時、雨が降ったやろ?
あれは、険しい道を自ら進むことを決めた幼いあんさんの為に流した…精霊達の涙や」
思い起こせば、確かに出発の日は雨だった。
柔らかな朝日が降り注ぐ中、暖かい霧雨がドルメックの身を包んでいた。
上空に虹の輪が出来ていて、妙に神秘的だったのを覚えてる。
「……あれが?」
「…せや。あんさんの為だけの、な。
顔も知らんガキのことやったけど…あれから、ずっと気になっとったんや。
そのガキんちょが、今わしの目の前に居て、しかもドラゴン討伐の仲間やなんて…。
なんだか運命的やな…?」
自嘲気味な笑みを浮かべ、キセルをくわえる。
クラウンの語る内容に、ドルメックは驚きを隠せない。
しかし、そこまで分かっているなら、ドルメックが聞きたいことも解るはずである。
とても似た境遇に立つクラウンに…聞きたかった。
――何を思った?
――何を感じた?
――何を願った?
――何を祈った?
(…その答えが、知りたいんだ…)
ドルメックは思い切って口を開いた。
「あんたに、聞きたいことがあるんだ…」