メモリー

『あ、ごめんね。
せっかくのデートなのにこんな話しして…。』



なんだか、申し訳ない気分になってくる。


デートにこの話は、タブーだ。


もしかして…

気分下げちゃったかな。



そう思ったあたしに対し、返ってきた言葉は予想を反したものだった。



「…もっと喋れよ。」

『え??』



思わず、目を見開く。


隼人はそんなあたしを、真っ直ぐと見つめていた。


「言いたいことあったら俺に全部言って。
我慢とか、遠慮とかしなくていいから。
俺、全部受け止めるし。」



…そっか。そうだよね。


隼人はどんな話しでも真剣に聞いてくれる。


絶対にバカにしたり、つまんないだなんて思ったりしない。


一瞬でも「気分下げちゃったかな」なんて思ったあたしは、バカみたいだ。