メモリー
見慣れた茶色の髪が、俺の視線に入る。
間違えるはずがない。
笑だ!!
『笑!!』
俺は、必死に叫んだ。
しかし、笑には届かなくて。
俺はもう一度叫んぼうと、息を吸った。
その時だった。
――バタン
地面が、鈍い音を立てる。
…笑が、
倒れたのだ。
『えみ!!!!!』
俺は笑に慌てて近づいた。
そして笑を軽く抱き寄せると、心臓に手を当てる。
…よかった、心臓は動いてる。
だけど、笑は何も反応を示さなくて。
笑はもう、意識をなくしていた。