メモリー
お母さん…。
ごめんね。
あたしは知ってたんだ。
「最後の思い出」って言えばお母さんは許してくれる…って。
わかっていて言ったあたしは最低だ。
でも決して嘘はついてない。
これがあたしの素直な気持ち。
本当に思ったんだ。
あの時、諦めた夢。
短距離走の選手になること。
この夢はもう叶えられない。
叶えることはない。
そんなのわかっている。
だけど夢になるぐらい、走るのは早かったし、なにより、
走るのが大好きだった。