メモリー



「36.4ね。熱はないみたい。」

「そうですか。よかったぁ」



前田はあからさまに、ホッとした表情を見せる。


その表情から見ると、心からホッとしているようだった。



「にしても急に運ばれてくるなんて…
笑ちゃんなんかしちゃったかしら??」



看護婦がそれを言った途端、場のふいんきが冷たくなるような感覚が、辺りを襲った。



一気に沈黙が流れる。


俺は思わず息をのんだ。




< 29 / 339 >

この作品をシェア

pagetop