メモリー

また、二人だけの空間が訪れる。



俺はどうすればいいのか、困っていた。


ききたいことは山ほどある。


走っちゃいけない体、
とはどういうことか知りたい。


けれどもなぜか、簡単にきいてはいけないような、そんな感じがした。



俺が迷っていると、前田が話しかけてきた。


「あのさ。さっきのことだけど。」

『ん??』



前田がいう「さっきのこと」とは、多分学校のことだ。



『それが…どうかした??』



…もしかしたら、学校にいくつもりになったのだろうか。


しかし、そんな俺の淡い期待は簡単に打ち砕かれた。



「あたし教室にはいかないよ。」



そう言った前田の声は力強くはっきりとしていた。









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