メモリー


なに…。それ…。


卒業するのは難しいって…。


あたしは卒業する前に、死ぬってこと??


うっすらと涙で視界が霞む。


頭は疑問でいっぱいだった。



なんで…??


先生、治るって言ってたじゃん…。




その時、お母さんと目があった。



「え…み??」


反射的だったと思う。


あたしは、咄嗟に今きたふりをした。



『なんだぁ。お母さんここにいたんだぁ。探しちゃったよ。』



一生懸命、明るい声を出した。


絶対に、聞いてたことを悟られたくなくって。



「そうなの。」


お母さんはあからさまホッとした表情を見せる。


そんなお母さんを見て、あたしもホッとした。



…きっと、あたしが今きたと、勘違いしたんだろう。



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