僕等がみた空の色
かすかに蘇る旋律。
あたしは、この音が大好きだったのに。
優しくて、繊細で、あたしのそれよりずっとずっとあたたかだったのに。
あたしが壊した、全部。
――…ドクン…。
あの日、あたしがあんな我が儘言わなかったら。
違う、ピアノを始めなければ。
違う、ちがう。
アオと出会わなければ。
……ドクン、ドクン
自分の鼓動がやけに大きく聞こえる。
……ちがう。
あたしが、
――ドクン
生まれてこなければ。
目を見開いて上体を素早く起こした。