僕等がみた空の色
「六花は自覚ないみたいだから教えてあげるけど。」
そう言ってバイオリンを置いて立ち上がり、あたしの方へ近付いてきた。
「美人な楠さんに、願わくばお近づきになりたいな、なんて思ってる輩はたくさんいるわけ。」
伸びてくるキレイな藍の手。
文句を言う間もなく、あたしの長い髪を一房すくって唇によせた。
「そ、んなわけ、ないでしょ。」
熱くなる頬に、高鳴る鼓動。
藍の顔が近い。
こんなとき、いつも抵抗できないのは。
「それがそんなわけあるんだ。…俺としては、六花にそんなやつら近付けたくないけど。」
意地悪な光を称えた瞳で覗きこんでくる。
また、甘い言葉。
騙されない、あたしは。
そう思いつつ、反論する言葉が出てこない。