僕等がみた空の色
「俺、多分夜は帰ってこないからいくら声出しても大丈夫だぞ」
「ふざけんな。ちがうっつの。この万年発情期野郎が」
どうせ女のとこ泊まるんだろ、という藍の心の声が聞こえてしまった。
…やっぱり、そーゆー人なんだ。
まぁそれだけカッコよかったらなぁー。
「馬鹿お前!六花ちゃんに誤解されんだろ!」
「近所迷惑だからもう喋んないで。つーか誤解じゃなくて真実だろ。しかも気安く名前呼ぶなよ」
藍てやっぱ心の底からドSだなぁ………って。
え?
「あの、なんで名前…」
久しぶりに喋ったからか、二人とも、あ、という顔をした。
…そんな影薄いか?
「こんにちは、杉崎星羅です。六花ちゃんのことは藍からよく聞いてますー」
ぉお。悩殺スマイル…。
差し出された手を躊躇いがちに握り返し、とりあえずよろしくです、とだけ言った。
なんか名前負けしてないな、この人。
…とゆーか、さっき…。
「よく聞いてる…?」
「いいから六花!もう行こう!!」
あたしの言葉を遮るように放った藍の声が一番近所迷惑だ。
強引に手を引かれながら、杉崎さんを振り返った。
「藍、一人暮らしだからって好き放題しすぎんなよ。六花ちゃん、またねー」
意地悪そうににやっとすると、彼は見えなくなった。