天使と吸血鬼

そのまま

朝目が覚めると、
私は先生に抱かれていた。

昨日もそうだけど、
こんなにゆっくりと
眠れたのは先生のおかげ。

私は自分の状態を見て、
私の腕の痕を見たはず。
なのに先生は私を殺さなかった。

私を殺せば悪魔界は滅びて、
天使界は助かる筈なのに。

それは私と同じ。
私は今先生の血を吸う事は、
可能なはずなのに、
吸う事が出来ない。

私は心の底から、
本気で先生を愛している。

そして先生が寝ている隙に、
半分に割れた水晶を探せる
チャンスがあるのに、
水晶を探す事が出来ない。

それは私が持っている水晶を
先生に渡して、
一層私を先生の手で殺して
欲しいと願っている。
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