粉雪のマジック
『……まだ、引きずってるかも。』


『そんな……。』


もう何年も前だし、あんたのせいじゃなかった。


『5年前の今日も、

お前に喜んで欲しくて色んな事考えた。』

少しくぐもった声で呟く。

そう、父さんが平手打ちした日は









『最高の景色を見せたくて。』

5年前のクリスマスだったね。

『そんころから、もうお前にホレてたから、

めちゃくちゃ綺麗な景色を見せようとお前を連れていったんだよな?』


そう。


………でも、

『前日に雪が積もったからあたしが足を滑らせたんだよね?』

そこがちょうど崖の部分で、


落ちたあたしは泣き叫んだっけ?


『あんたが血だらけのあたしをおぶって家まで来たんだよね。』


そん時に父さんに平手打ちされたんだよ。


『だからずっと誘えなかった。


クリスマスの日、また何かケガをさせるんじゃないかって。』


『今回はしなかったけどね。』


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