粉雪のマジック
『嘘。』


『え?』

ポスッ……


あ……。


『指をケガしてんなら素直に言えばいいのに。』


とあいつは溜め息をついた。


『……やっぱ、分かってたんだ。』

とバツが悪そうに言う。



だってこんなことになった理由を聞いたら、


多分、自分を責めるでしょ?


君なら。


『………これ、』


『は?』

とあたしが差し出したのは、









『………クッキー、か?』

『ホントはケーキ作ろうかなって思ったんだけど、あまりにもケガするからクッキーにしたの。』


一応クリスマスだし、何か手作りあげた方が喜ぶかな?って……


するとあいつは、クッキーをかじり、

『………甘い。』

そう微笑んでくれた。

『ホント?』

『俺が嘘ついてどうすんや。』

『でも……。』

『俺は、』

と不意にあいつがあたしの手を包み込む。


『お前がこんなにまでして作ってくれた。

それだけで嬉しい。』


………いつだって、

あいつはあたしの事を見透かして、

あたしを喜ばせようとする。

だってね、


『実は俺もプレゼントがあんたよ。』

あたし、知ってたんだよ。


『ほら。』

あんたが必死に迷って、


『………ネックレス?』


『まぁ、な。』

ネックレスを買ってくれた事。


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