Devil†Story
ー稀琉sideー
「ーーうわぁぁぁ!!」
屋上に投げ出された稀琉はそのまま叩きつけられた。
「いたたた…」
「おぉー!見事な一本釣りだなぁ!」
「どれどれ相手は…ってなんだぁ?このガキぶっ殺すだけで金貰えるとかついてんなぁ!」
「ヒッ…!」
突然聞こえた大声に、この事が幽霊の仕業だと思っている稀琉は肩を大きく震わせた。そこには十人以上の半グレ集団が稀琉を取り囲んでいた。
「こんななよっちぃ坊ちゃん殺すだけでいいなんて…糸花ちゃんは太っ腹だなぁ!」
「どうやってここまで投げ込んだかは分からねぇッスけど本当ラッキーッスね!道東(どうとう)さん!」
「あぁ!これで今夜はパーティと行こうぜ!」
男達の下品な笑い声が響く中、稀琉は頭を抱えて座り込んでいた。
(どっどどど!どうしよう!?こっ、ここっ!このままだと取り憑かれちゃう…!!)
目を固く瞑っている稀琉はパニック状態の為、目の前にいるのが半グレではなく幽霊だと思い込んでいる。
「おらぁ!さっさと終いにしようや!」
「わぁぁぁ!!やめてぇ!!」
男が吠えるのと同時に稀琉は悲鳴を上げた。次の瞬間左頬に痛みを感じ、稀琉は床に倒れ込んだ。
「うっ…!!」
「シャア!左顔面ヒット!本当はその手の店で高く売れそうだから売っちまいたいが、殺すのが条件だからなぁ…。腹いせにこのまま痛ぶってからぶっ殺そうぜ!」
相変わらず下品な男達の笑い声が響く中、稀琉はそっと頬に触れていた。
「もうダメ……ってあれ?痛い?触られた…?」
殴られた拍子に口を切っていた為、口の端から血が流れていた。それを手の甲で拭う。
「血…出てる…。なんで…?」
ここでようやく周りの状況を見るとそこに居たのは幽霊なんかではなく生きている人間であった。
「え、え?アレ?お化けは…?」
「何さっきから馬鹿な事言ってんだ!?ここの幽霊騒ぎで度胸試しにきたのかぁ!?坊ちゃん!残念だったなぁ!ここでの失踪事件はぜーんぶ俺等の仕業だっての!坊ちゃんみたいな馬鹿な奴を拉致ってその手の店や海外に売り捌いてやってんのさ!ギャハハ!」
その場にいた男達は大きな声で喚いてから笑い出した。この悪意や先程頬に受けた拳の温かさに触れた稀琉は相手が人間である事を完全に理解した。
「…お化けだと思って凄く怖かったのに…何それ…」
ゆらりと立ち上がりながらホルスターからダイヤ型の重りを取り出し、指輪に収納されているワイヤーの先端に嵌め込む。
「あぁ!?なんだって!?」
「オレがお化けダメなのを知ってて…それを利用して…殺すつもりだったんだ…」
足首についていたケブラー糸に気付いた稀琉はそれを見ながら小さな声で呟き続ける。
「ケブラー糸…これでオレを引いて引き摺ったんだ…あの怪談話みたいに…そうなんだ……」
「さっきからブツブツ何言ってんのか分かんねぇガキだな!やっちまえ!」
「オオォォー!」と雄叫びを上げた男達は一斉に稀琉に飛びかかった。その瞬間であった。
ーーキィン
「…へっ?」
胸部に鋭い痛みを感じて立ち止まるとそこから激しく出血していた。見ると稀琉が切ったようで左手が横に振られていた。
「な!?」
突然の怪我に驚愕していると普段の稀琉からは想像も出来ないような冷たい殺気が辺りを包み込んだ。
「…オレ、許さないからね。お化けを利用してそんな酷い事して…本当に怖くてトイレに行けなくなるところだったのに…!お化けに取り憑かれるって凄く怖かったのに……それなのに…!刹那から許可もらってるし……このオレの恐怖を味わってもらうまで絶対許さないから!」
キッと鋭く睨みつけた稀琉は足首についていたケブラー糸をワイヤーで切断してから男達に飛びかかって行った。
「なっ!?こっこいつ!よえーんじゃーーぎゃあ!!」
「こんなの聞いてないッスーーぐわっ!!」
「許さないからー!!」
怒った様子の稀琉は男達の悲鳴を諸共せず攻撃を続けていた。
「ーーうわぁぁぁ!!」
屋上に投げ出された稀琉はそのまま叩きつけられた。
「いたたた…」
「おぉー!見事な一本釣りだなぁ!」
「どれどれ相手は…ってなんだぁ?このガキぶっ殺すだけで金貰えるとかついてんなぁ!」
「ヒッ…!」
突然聞こえた大声に、この事が幽霊の仕業だと思っている稀琉は肩を大きく震わせた。そこには十人以上の半グレ集団が稀琉を取り囲んでいた。
「こんななよっちぃ坊ちゃん殺すだけでいいなんて…糸花ちゃんは太っ腹だなぁ!」
「どうやってここまで投げ込んだかは分からねぇッスけど本当ラッキーッスね!道東(どうとう)さん!」
「あぁ!これで今夜はパーティと行こうぜ!」
男達の下品な笑い声が響く中、稀琉は頭を抱えて座り込んでいた。
(どっどどど!どうしよう!?こっ、ここっ!このままだと取り憑かれちゃう…!!)
目を固く瞑っている稀琉はパニック状態の為、目の前にいるのが半グレではなく幽霊だと思い込んでいる。
「おらぁ!さっさと終いにしようや!」
「わぁぁぁ!!やめてぇ!!」
男が吠えるのと同時に稀琉は悲鳴を上げた。次の瞬間左頬に痛みを感じ、稀琉は床に倒れ込んだ。
「うっ…!!」
「シャア!左顔面ヒット!本当はその手の店で高く売れそうだから売っちまいたいが、殺すのが条件だからなぁ…。腹いせにこのまま痛ぶってからぶっ殺そうぜ!」
相変わらず下品な男達の笑い声が響く中、稀琉はそっと頬に触れていた。
「もうダメ……ってあれ?痛い?触られた…?」
殴られた拍子に口を切っていた為、口の端から血が流れていた。それを手の甲で拭う。
「血…出てる…。なんで…?」
ここでようやく周りの状況を見るとそこに居たのは幽霊なんかではなく生きている人間であった。
「え、え?アレ?お化けは…?」
「何さっきから馬鹿な事言ってんだ!?ここの幽霊騒ぎで度胸試しにきたのかぁ!?坊ちゃん!残念だったなぁ!ここでの失踪事件はぜーんぶ俺等の仕業だっての!坊ちゃんみたいな馬鹿な奴を拉致ってその手の店や海外に売り捌いてやってんのさ!ギャハハ!」
その場にいた男達は大きな声で喚いてから笑い出した。この悪意や先程頬に受けた拳の温かさに触れた稀琉は相手が人間である事を完全に理解した。
「…お化けだと思って凄く怖かったのに…何それ…」
ゆらりと立ち上がりながらホルスターからダイヤ型の重りを取り出し、指輪に収納されているワイヤーの先端に嵌め込む。
「あぁ!?なんだって!?」
「オレがお化けダメなのを知ってて…それを利用して…殺すつもりだったんだ…」
足首についていたケブラー糸に気付いた稀琉はそれを見ながら小さな声で呟き続ける。
「ケブラー糸…これでオレを引いて引き摺ったんだ…あの怪談話みたいに…そうなんだ……」
「さっきからブツブツ何言ってんのか分かんねぇガキだな!やっちまえ!」
「オオォォー!」と雄叫びを上げた男達は一斉に稀琉に飛びかかった。その瞬間であった。
ーーキィン
「…へっ?」
胸部に鋭い痛みを感じて立ち止まるとそこから激しく出血していた。見ると稀琉が切ったようで左手が横に振られていた。
「な!?」
突然の怪我に驚愕していると普段の稀琉からは想像も出来ないような冷たい殺気が辺りを包み込んだ。
「…オレ、許さないからね。お化けを利用してそんな酷い事して…本当に怖くてトイレに行けなくなるところだったのに…!お化けに取り憑かれるって凄く怖かったのに……それなのに…!刹那から許可もらってるし……このオレの恐怖を味わってもらうまで絶対許さないから!」
キッと鋭く睨みつけた稀琉は足首についていたケブラー糸をワイヤーで切断してから男達に飛びかかって行った。
「なっ!?こっこいつ!よえーんじゃーーぎゃあ!!」
「こんなの聞いてないッスーーぐわっ!!」
「許さないからー!!」
怒った様子の稀琉は男達の悲鳴を諸共せず攻撃を続けていた。