Devil†Story
上を見ると2階の窓の部分に座っている、黒髪、金目の……黒縁眼鏡をかけた青年が笑いながらこっちを見ていた。あいつが…麗弥のカラスが見た黒眼鏡か。辺りが暗くなってきたのにも関わらず奴の目は怪しく輝いていた。まるで、獲物を見付けたハイエナの様な目を俺は知っている。やはり人間ではない。
「あの人って…もしかして…?」
稀琉が恐る恐る口を開いた。ギュッと麗弥を抱える手に力が入っていた。間近でこの殺気に当てられれば、体に力が入るのは当然だ。
「あいつや…あいつが俺をここに監禁していた奴や」
麗弥が奴をキッと睨んだ。しかし、まるで意に返さないようにそいつは嘲笑している。
「フフ…まだ帰って良いなんて言ってないのに何処に行く気なのかな?…まぁ?俺の餌で釣れたからとりあえずはいいんだけど」
チラリと俺の方を見て笑う。…やっぱ俺が目的か。こいつの名前が仮にヤナだったとすれば、ネットに書き込みしてた狩人のYはこいつの事だろう。紅い目の事を嗅ぎ回ってたとすれば俺とロスがターゲットなのはすぐに特定出来た。
「くっ…どうするっ?」
奴が俺を見ていたのを知らない稀琉は左手で麗弥を抱えながら右手の指輪からワイヤーを出した…が。
「あ…れ…?」
片手で額を押さえた稀琉がよろけ始める。
「!?どないしたん?稀琉!」
「な…んか急に目眩が……」
「!」
稀琉から出たその言葉に横目で稀琉を見る。
(そうか。そういやあの蜘蛛女、毒張ってたんだったな。俺よりあの空間に居なかったから俺程じゃねえが毒にやられてんな。急に症状が現れたのは上に連れてかれた時は幽霊だとビビってたのと、その後にキレてたから興奮状態が続いててそん時には出なかったんだな)
先程糸花と戦った際の事を思い出す。稀琉が連れて行かれたあの部屋に糸花は甘い香りのする毒を充満させていた。その毒に稀琉も毒に侵されていたのだ。
「大丈夫なん!?」
「大…丈夫…」
口ではそう言いながらかろうじて麗弥を押さえているものの戦える状態でないのは明らかだった。
…あの蜘蛛女なんかの比じゃねぇな。こいつの実力は。そんな中、怪我した馬鹿と毒に侵された稀琉がいんのは邪魔だな。溜め息をついた俺は口を開いた。
「…お前等先に戻ってろ」
俺は鞘から剣を抜いて前に出る。
「ーー!? クロム!?」
稀琉が驚いているのも無理はない。魔物だと分からなくとも相手の実力はある程度殺気や覇気で測ることが出来る。相手はどう考えても今まで対峙してきた奴らとはレベルが違う事は理解出来たからだ。
「別にお前等の為じゃない。こっちの都合だ」
相手が人間じゃない以上…稀琉や麗弥に戦っている所を見せるのは面倒だ。それにさっきの蜘蛛女の話振り的に目が紅い奴は悪魔と契約してる事は魔物の中の常識みたいだからな。奴が黙っているとは考えにくい。勝手にペラペラと色々話されるのも面倒だ。
「ーーへぇ?俺とサシで対決するって?面白い…。いいよ。眼帯くんから君にシフトチェンジするのは俺にとっても好都合だからね」
更に殺気を高めた奴は口を三日月のように吊り上げて笑っていた。空気がピリついて軽い圧迫感を覚える程であった。
「待ってよクロム…!この人、絶対強いよ!」
「さっきの女だけじゃあ退屈だったからな。丁度良い相手だ」
「でもっ!…う…」
大声を出した事で目眩が悪化したようだ。後ろによろけてしまう。
「せ、せやで…!こいつはそんな甘くあらへんよ!無茶やて!」
あー…面倒くせぇなこいつら!お前等が残ってると邪魔なんだよ。手負い野郎どもが。こっちが静かに言ってる内に言うこと聞けっての!イライラすんな!
チラリと麗弥の顔色を見てから俺はイライラに任せて怒鳴りつけた。
「ガタガタうるせぇな!さっさと行けっての!流石に長時間放置してたらその馬鹿くたばっちまうぞ!」
「それにてめぇも目眩してんだろうが!そんな奴等が居ても邪魔なだけなんだよ!」と怒鳴りつける。確かに麗弥は元気そうだが、疲労している。磔られていた場所を見るとかなり出血した跡も見られた。今も大量では無いが出血している状態でこれ以上放置してれば命に関わってくる。早めに治療すべきなのは違わない。また自身もそれなりに強い目眩がする中でまともに戦えない状況だった。稀琉もそれを理解しているので、完全には納得していないが頷いた。
「っ…。分かった。気を付けて…ね」
「俺がこないじゃなかったら良かったんやけど…堪忍な…。…気ぃ付けぇや、クロム。あいつ…ただ者やない」
「お前等に言われなくても分かってる。さっさと行け」
俺の言葉で稀琉と麗弥は渋々ながらも倉庫から外へ出た。
「あの人って…もしかして…?」
稀琉が恐る恐る口を開いた。ギュッと麗弥を抱える手に力が入っていた。間近でこの殺気に当てられれば、体に力が入るのは当然だ。
「あいつや…あいつが俺をここに監禁していた奴や」
麗弥が奴をキッと睨んだ。しかし、まるで意に返さないようにそいつは嘲笑している。
「フフ…まだ帰って良いなんて言ってないのに何処に行く気なのかな?…まぁ?俺の餌で釣れたからとりあえずはいいんだけど」
チラリと俺の方を見て笑う。…やっぱ俺が目的か。こいつの名前が仮にヤナだったとすれば、ネットに書き込みしてた狩人のYはこいつの事だろう。紅い目の事を嗅ぎ回ってたとすれば俺とロスがターゲットなのはすぐに特定出来た。
「くっ…どうするっ?」
奴が俺を見ていたのを知らない稀琉は左手で麗弥を抱えながら右手の指輪からワイヤーを出した…が。
「あ…れ…?」
片手で額を押さえた稀琉がよろけ始める。
「!?どないしたん?稀琉!」
「な…んか急に目眩が……」
「!」
稀琉から出たその言葉に横目で稀琉を見る。
(そうか。そういやあの蜘蛛女、毒張ってたんだったな。俺よりあの空間に居なかったから俺程じゃねえが毒にやられてんな。急に症状が現れたのは上に連れてかれた時は幽霊だとビビってたのと、その後にキレてたから興奮状態が続いててそん時には出なかったんだな)
先程糸花と戦った際の事を思い出す。稀琉が連れて行かれたあの部屋に糸花は甘い香りのする毒を充満させていた。その毒に稀琉も毒に侵されていたのだ。
「大丈夫なん!?」
「大…丈夫…」
口ではそう言いながらかろうじて麗弥を押さえているものの戦える状態でないのは明らかだった。
…あの蜘蛛女なんかの比じゃねぇな。こいつの実力は。そんな中、怪我した馬鹿と毒に侵された稀琉がいんのは邪魔だな。溜め息をついた俺は口を開いた。
「…お前等先に戻ってろ」
俺は鞘から剣を抜いて前に出る。
「ーー!? クロム!?」
稀琉が驚いているのも無理はない。魔物だと分からなくとも相手の実力はある程度殺気や覇気で測ることが出来る。相手はどう考えても今まで対峙してきた奴らとはレベルが違う事は理解出来たからだ。
「別にお前等の為じゃない。こっちの都合だ」
相手が人間じゃない以上…稀琉や麗弥に戦っている所を見せるのは面倒だ。それにさっきの蜘蛛女の話振り的に目が紅い奴は悪魔と契約してる事は魔物の中の常識みたいだからな。奴が黙っているとは考えにくい。勝手にペラペラと色々話されるのも面倒だ。
「ーーへぇ?俺とサシで対決するって?面白い…。いいよ。眼帯くんから君にシフトチェンジするのは俺にとっても好都合だからね」
更に殺気を高めた奴は口を三日月のように吊り上げて笑っていた。空気がピリついて軽い圧迫感を覚える程であった。
「待ってよクロム…!この人、絶対強いよ!」
「さっきの女だけじゃあ退屈だったからな。丁度良い相手だ」
「でもっ!…う…」
大声を出した事で目眩が悪化したようだ。後ろによろけてしまう。
「せ、せやで…!こいつはそんな甘くあらへんよ!無茶やて!」
あー…面倒くせぇなこいつら!お前等が残ってると邪魔なんだよ。手負い野郎どもが。こっちが静かに言ってる内に言うこと聞けっての!イライラすんな!
チラリと麗弥の顔色を見てから俺はイライラに任せて怒鳴りつけた。
「ガタガタうるせぇな!さっさと行けっての!流石に長時間放置してたらその馬鹿くたばっちまうぞ!」
「それにてめぇも目眩してんだろうが!そんな奴等が居ても邪魔なだけなんだよ!」と怒鳴りつける。確かに麗弥は元気そうだが、疲労している。磔られていた場所を見るとかなり出血した跡も見られた。今も大量では無いが出血している状態でこれ以上放置してれば命に関わってくる。早めに治療すべきなのは違わない。また自身もそれなりに強い目眩がする中でまともに戦えない状況だった。稀琉もそれを理解しているので、完全には納得していないが頷いた。
「っ…。分かった。気を付けて…ね」
「俺がこないじゃなかったら良かったんやけど…堪忍な…。…気ぃ付けぇや、クロム。あいつ…ただ者やない」
「お前等に言われなくても分かってる。さっさと行け」
俺の言葉で稀琉と麗弥は渋々ながらも倉庫から外へ出た。