Devil†Story
「アハハ。本当に1人で残るなんてね。人間のわりには凄いよ。まぁ…ただの人間ではないだろうけど」
そいつが笑いながら組んでる足に肘をつけた。…やっぱ契約してるってバレてるな。早めに稀琉と麗弥をここから追っ払って正解だった。
「さぁな。…テメェがあの女が言ってた“ヤナ”って奴か?」
俺が静かに聞くと相変わらず嘲笑しながら音もなく、降りてきた。
「やっぱあのクズ喋っちゃってたかー。戦ってるのは知ってたから様子見に行ったら、君に殆ど傷をつけられてない上に殺られそうになってんだもん。殺して正解だったよ。まあそうだよねぇ…こっち(人間界)で見つけた奴だから仕方ないかぁ…。そうだよ。俺がヤナ」
「以後お見知り置きを…」と言って胸に手を当てて軽く頭を下げる。笑った口からは牙が見えていた。さっき蜘蛛女を殺したのはやはりこいつだった様だ。…少し探るか。
「…捨て駒かあの女。じゃねぇと……テメェの組織の力量が問われるぜ」
…正直、精神攻撃ならあのババァは効果覿面だったが。再び思い出された吐き気を押さえながら俺は馬鹿にしたように笑った。
「ぷっ…アハハ!やっぱりあんなクズ程度じゃ君は満足してくれないか!安心してよ。あんなクズ…他には居ないから」
そのヤナの言葉で自分の憶測が正しかった事を確信した。…今こいつ他にはって言ったな。思った通りこいつの単独犯じゃなくて組織で動いてやがるのか。蜘蛛女がクズって言ってたから実力は少なくとも…こいつと同等の奴等か。どんな理由で俺等に目をつけたのか分からんが目的をハッキリさせねぇと、また今回みたいに面倒な手で来られるな。
「…テメェ等の目的はなんだ?狩人の真似事までして俺とロスに何の用がある?」
睨みつけながら目的を問うクロムを見下したような表情で見返していた。それだけではなく、その質問には答えずに質問を質問で返す。
「クス…。今日はもう1人の彼は居ないんだ?ちょっと恐いから警戒してたんだけど」
糸花が稀琉を探っていた際、ヤナはこの場所で麗弥に尋問を行っていた。気配を遮断したこの空間に居たのにも関わらずロスの殺気を感じ取っていたのだ。怖いから警戒はそこからきた言葉だった。
「あいつは居ねぇよ。つーかあいつと俺をセットで考えるのは止めてくれ。気持ち悪い」
確かに悪魔と契約すると俺とロスの様にほぼ一緒にいる事が増える。それは相棒としてというよりは監視の為だ。パートナーみたいに言われたらたまったもんじゃねぇ。
「人間の君にそこまで言われて…あっちはなんとも思ってないの?あんなに恐ろしい殺気を出せるのに」
この空間に届く程の殺気を放つ悪魔が契約者の人間に雑に扱われているのが疑問だったのか目を少し大きくさせた。
「…基本あいつは変わった奴なんでね」
「へー。そう…。人間に好き勝手させるなんて何か理由でもあるのかな?」
「…無駄話に付き合うつもりはねぇぞ。さっさと目的を言えよ」
背中に手を伸ばして剣の柄を掴む。
「じゃあ逆に聞くけど…君の契約主は今どこにいるのかな?"どっちも"連れて行かないといけないからさ」
「…さぁな。知らねぇよ。その内来るんじゃねぇの。その前に先に目的を言えよ」
「…教えないって言ったら?」
「…素直に話す気になるまで刻むだけだ。殺す事に変わりはねぇがな」
掴んでた剣を引き抜いて眼前のヤナに突きつける。
「おー。怖い、怖い」
奴は棒読みでそう言った。
「あの蜘蛛女は全く手応えがなかったからな。…少しは魔物の威厳ってやつを見せてもらえねぇと…てめぇらが見下してる人間と大差ねぇと感じるな」
ーーピクッ
僅かにヤナの眉毛が動いた。言葉の端々、態度からヤナが人間を見下しているのは明白であった。だから敢えて大差がないと言う言葉を使って挑発したのだ。
「……ふーん。随分余裕があるじゃないか。勇敢だねぇ……それとも自分の実力を鑑みれないただのお馬鹿さんなのか」
「ハッ…"あの程度"のあいつの殺気如きで喚いてる奴に言われたくねぇな。てめぇ位俺1人で余裕で倒せねぇと半殺しにされるんでね」
「……言ってくれるねぇ。そのクールさが…終わるまで持つといいけどね」
俺が馬鹿にして笑うと奴も卑しい笑みを浮かべた。互いの殺気がぶつかり合い倉庫内の空気がより一層張り詰めた。俺が姿勢を低くし、走り出そうとしたその瞬間だった。
カサ…
足元から何かが落ちるような音が耳に届いた。
そいつが笑いながら組んでる足に肘をつけた。…やっぱ契約してるってバレてるな。早めに稀琉と麗弥をここから追っ払って正解だった。
「さぁな。…テメェがあの女が言ってた“ヤナ”って奴か?」
俺が静かに聞くと相変わらず嘲笑しながら音もなく、降りてきた。
「やっぱあのクズ喋っちゃってたかー。戦ってるのは知ってたから様子見に行ったら、君に殆ど傷をつけられてない上に殺られそうになってんだもん。殺して正解だったよ。まあそうだよねぇ…こっち(人間界)で見つけた奴だから仕方ないかぁ…。そうだよ。俺がヤナ」
「以後お見知り置きを…」と言って胸に手を当てて軽く頭を下げる。笑った口からは牙が見えていた。さっき蜘蛛女を殺したのはやはりこいつだった様だ。…少し探るか。
「…捨て駒かあの女。じゃねぇと……テメェの組織の力量が問われるぜ」
…正直、精神攻撃ならあのババァは効果覿面だったが。再び思い出された吐き気を押さえながら俺は馬鹿にしたように笑った。
「ぷっ…アハハ!やっぱりあんなクズ程度じゃ君は満足してくれないか!安心してよ。あんなクズ…他には居ないから」
そのヤナの言葉で自分の憶測が正しかった事を確信した。…今こいつ他にはって言ったな。思った通りこいつの単独犯じゃなくて組織で動いてやがるのか。蜘蛛女がクズって言ってたから実力は少なくとも…こいつと同等の奴等か。どんな理由で俺等に目をつけたのか分からんが目的をハッキリさせねぇと、また今回みたいに面倒な手で来られるな。
「…テメェ等の目的はなんだ?狩人の真似事までして俺とロスに何の用がある?」
睨みつけながら目的を問うクロムを見下したような表情で見返していた。それだけではなく、その質問には答えずに質問を質問で返す。
「クス…。今日はもう1人の彼は居ないんだ?ちょっと恐いから警戒してたんだけど」
糸花が稀琉を探っていた際、ヤナはこの場所で麗弥に尋問を行っていた。気配を遮断したこの空間に居たのにも関わらずロスの殺気を感じ取っていたのだ。怖いから警戒はそこからきた言葉だった。
「あいつは居ねぇよ。つーかあいつと俺をセットで考えるのは止めてくれ。気持ち悪い」
確かに悪魔と契約すると俺とロスの様にほぼ一緒にいる事が増える。それは相棒としてというよりは監視の為だ。パートナーみたいに言われたらたまったもんじゃねぇ。
「人間の君にそこまで言われて…あっちはなんとも思ってないの?あんなに恐ろしい殺気を出せるのに」
この空間に届く程の殺気を放つ悪魔が契約者の人間に雑に扱われているのが疑問だったのか目を少し大きくさせた。
「…基本あいつは変わった奴なんでね」
「へー。そう…。人間に好き勝手させるなんて何か理由でもあるのかな?」
「…無駄話に付き合うつもりはねぇぞ。さっさと目的を言えよ」
背中に手を伸ばして剣の柄を掴む。
「じゃあ逆に聞くけど…君の契約主は今どこにいるのかな?"どっちも"連れて行かないといけないからさ」
「…さぁな。知らねぇよ。その内来るんじゃねぇの。その前に先に目的を言えよ」
「…教えないって言ったら?」
「…素直に話す気になるまで刻むだけだ。殺す事に変わりはねぇがな」
掴んでた剣を引き抜いて眼前のヤナに突きつける。
「おー。怖い、怖い」
奴は棒読みでそう言った。
「あの蜘蛛女は全く手応えがなかったからな。…少しは魔物の威厳ってやつを見せてもらえねぇと…てめぇらが見下してる人間と大差ねぇと感じるな」
ーーピクッ
僅かにヤナの眉毛が動いた。言葉の端々、態度からヤナが人間を見下しているのは明白であった。だから敢えて大差がないと言う言葉を使って挑発したのだ。
「……ふーん。随分余裕があるじゃないか。勇敢だねぇ……それとも自分の実力を鑑みれないただのお馬鹿さんなのか」
「ハッ…"あの程度"のあいつの殺気如きで喚いてる奴に言われたくねぇな。てめぇ位俺1人で余裕で倒せねぇと半殺しにされるんでね」
「……言ってくれるねぇ。そのクールさが…終わるまで持つといいけどね」
俺が馬鹿にして笑うと奴も卑しい笑みを浮かべた。互いの殺気がぶつかり合い倉庫内の空気がより一層張り詰めた。俺が姿勢を低くし、走り出そうとしたその瞬間だった。
カサ…
足元から何かが落ちるような音が耳に届いた。