Devil†Story
「!?」
足元から攻撃を受けたのかと思った俺が足元を見たがそれは杞憂であった。
「…なんだよ。飴か…」
どうやら朝に刹那に貰って入れていた飴が、深く踏み込んで圧迫された事によりポケットから落ちたらしい。俺は反射的にそれを拾った。
「…あー!!」
突然奴が大声をあげた。先程までの殺気が消えた代わりに倉庫内には奴の声が木霊していた。
「…はっ?」
俺は訳も分からず奴を見ると俺に向かって指を刺していた。…いや、正確には俺が持っている飴だったが。
「そ…それ!何処で買ったの!?」
「…これの事か?」
俺は持ってた飴を少し前に出すと奴は激しく頷いた。
「それそれ!何処で買った!?」
「貰ったもんだから知らねぇよ」
「貰った…だって!?クゥ…!なんでそんな簡単に手に入れられてるんだよ!嘘だろー…。それ…今日発売の“パラレル”の新商品でわざわざ2時間も並んだのに!それなのに…!買えなかったのに!」
「2時間…」
俺はそこまで並んだ奴にある意味感心した。今日発売の商品って事は少なくともあの蜘蛛女の口封じする前には既に並び終わってたって事だろ?どんだけ暇なんだこいつ…。
「……つーか並ばねぇで盗めばいいんじゃねぇのか。アンタ魔物だろ」
「何を言う!俺はそんな野蛮な事はしないよ!パラレルに対する冒涜だよ!きちんと還元しないと!」
「………」
俺は呆れて何も言えなかった。ヤナが先程から何度も口にしている“パラレル”とは有名なお菓子メーカーで大ヒット商品を世にいくつも出している。さっきのお菓子工場もパラレルの工場だ。刹那とパラレルの社長は取引先として長い付き合いがあり、クロムが刹那から貰うお菓子全般がこのパラレルの物だった。だから、刹那がこれをいち早く手に入れてるのは当たり前と言えば当たり前だ。
「その個包装の綺麗さ!それに合う中の飴の美しさ…!これに関しては人間を褒めてやりたいくらいだよ!俺達にはない感性と探究心をね!今回のは特にそうさ!丸い飴の中に花びらの菓子砂糖がソースの中で踊っていて、まるで花が散ってるような幻想さ…!味によって違うソースがまた綺麗でねぇ…。見た目だけじゃなくて味も深みがあるという優れもの…!それを…それを…!ただで手に入れたなんて…!」
力説している奴を放って俺はパッケージを見た。季節に合わせてるのか花柄のデザインだった。中身の飴も奴の説明通りで、スティックもそれに合わせた透明の洒落たデザインになっている、…言われてみれば初めて見るパッケージだな。新商品だったのか。
(しかし…人間でもないのにこんな物が好きなんて…こいつも相当変わってるんじゃないか?)
そう目の前で本当に残念そうに「あー…キャラメル味…食べたかったなぁ…。オレンジ色のソースで散ってる花びらを見たかったなぁ…」と言っている奴を見て魔物はこういうのが多いのかと契約主を思い出した。…キャラメル味?
クルッと味を見てみると見事にキャラメル味だった。
「……」
「ーー?おっと」
俺は待っていた飴を無言で奴に投げつけた。空中でキャッチしたそれを見た奴は再びでかい声を出した。
「ー!!え!?いいの!?」
「またポケットから出ても面白くないんでな。食いたきゃ勝手に食えば」
足元から攻撃を受けたのかと思った俺が足元を見たがそれは杞憂であった。
「…なんだよ。飴か…」
どうやら朝に刹那に貰って入れていた飴が、深く踏み込んで圧迫された事によりポケットから落ちたらしい。俺は反射的にそれを拾った。
「…あー!!」
突然奴が大声をあげた。先程までの殺気が消えた代わりに倉庫内には奴の声が木霊していた。
「…はっ?」
俺は訳も分からず奴を見ると俺に向かって指を刺していた。…いや、正確には俺が持っている飴だったが。
「そ…それ!何処で買ったの!?」
「…これの事か?」
俺は持ってた飴を少し前に出すと奴は激しく頷いた。
「それそれ!何処で買った!?」
「貰ったもんだから知らねぇよ」
「貰った…だって!?クゥ…!なんでそんな簡単に手に入れられてるんだよ!嘘だろー…。それ…今日発売の“パラレル”の新商品でわざわざ2時間も並んだのに!それなのに…!買えなかったのに!」
「2時間…」
俺はそこまで並んだ奴にある意味感心した。今日発売の商品って事は少なくともあの蜘蛛女の口封じする前には既に並び終わってたって事だろ?どんだけ暇なんだこいつ…。
「……つーか並ばねぇで盗めばいいんじゃねぇのか。アンタ魔物だろ」
「何を言う!俺はそんな野蛮な事はしないよ!パラレルに対する冒涜だよ!きちんと還元しないと!」
「………」
俺は呆れて何も言えなかった。ヤナが先程から何度も口にしている“パラレル”とは有名なお菓子メーカーで大ヒット商品を世にいくつも出している。さっきのお菓子工場もパラレルの工場だ。刹那とパラレルの社長は取引先として長い付き合いがあり、クロムが刹那から貰うお菓子全般がこのパラレルの物だった。だから、刹那がこれをいち早く手に入れてるのは当たり前と言えば当たり前だ。
「その個包装の綺麗さ!それに合う中の飴の美しさ…!これに関しては人間を褒めてやりたいくらいだよ!俺達にはない感性と探究心をね!今回のは特にそうさ!丸い飴の中に花びらの菓子砂糖がソースの中で踊っていて、まるで花が散ってるような幻想さ…!味によって違うソースがまた綺麗でねぇ…。見た目だけじゃなくて味も深みがあるという優れもの…!それを…それを…!ただで手に入れたなんて…!」
力説している奴を放って俺はパッケージを見た。季節に合わせてるのか花柄のデザインだった。中身の飴も奴の説明通りで、スティックもそれに合わせた透明の洒落たデザインになっている、…言われてみれば初めて見るパッケージだな。新商品だったのか。
(しかし…人間でもないのにこんな物が好きなんて…こいつも相当変わってるんじゃないか?)
そう目の前で本当に残念そうに「あー…キャラメル味…食べたかったなぁ…。オレンジ色のソースで散ってる花びらを見たかったなぁ…」と言っている奴を見て魔物はこういうのが多いのかと契約主を思い出した。…キャラメル味?
クルッと味を見てみると見事にキャラメル味だった。
「……」
「ーー?おっと」
俺は待っていた飴を無言で奴に投げつけた。空中でキャッチしたそれを見た奴は再びでかい声を出した。
「ー!!え!?いいの!?」
「またポケットから出ても面白くないんでな。食いたきゃ勝手に食えば」