Devil†Story
「ったくお主と来たら…とにかくじゃ!儂は天界に行かねばならぬ!儂が留守の間にエルに歴史の勉強と稽古を頼んじゃぞ!」
「うえー…面倒くせー……って。ん?天界に行くの?わざわざ?」
「左様」
「あー、だから俺に掃除頼んだって訳ね〜。でもよ?なんでアンタがやんなかったんだよ?道中でやれたろ〜?」
「バカモン。お主みたいに血塗れで天界に入る訳にはいかぬじゃろうて。どうしてもあやつと直接話さなければならん事があってな」
「俺ならそのまま行くけどな〜」
「それはお主にデリカシーがないからじゃ!」
「細かい事を気にするんだな〜。なんにせよそれはわざわざ危険な所へご苦労な事で。…さてジュニア。ここで復習するか。俺はなんでクソジジィにこう言ってるでしょう?」
人差し指を立ててエルの方を見たロスが問題を出した。突然ロスから振られ、驚いたエルだったが少し考えた後に次のように話し始めた。
今の世界は大きく分けると人間界、ここ魔界、天界の3つで構成されている。それぞれの世界には王と呼ばれる存在が1人居るのだが、ある事件をきっかけに、前の世界が消滅したと同時に人間界の王は消滅し、天界と魔界にのみ唯一無二の王が存在していた。天界の王は人間達が神と呼んでいる存在である。魔界と天界はそれぞれ目的が違う為、争いが避けられない部分もあるが基本的には友好的な関係を築いていた。しかしそれは表向きであった。
「ーー王同士と言うよりはその配下の者である天使と悪魔は歴史的に争い続けている事には変わりないから互いの世界には基本的には干渉しないのが暗黙のルールになっている為…ですよね?」
「正解だ。クソガキより覚えがいいな」
「じゃかしぃぞ!…まあしかし。全くもってその通りじゃ。お主が言いたい事は分かっておるぞ。じゃがのう…どうもその天界の者と堕天した者どもで妙な動きをしておってのぅ。彼奴等の事で話しをまとめとかなきゃならぬのだ」
ロスの嫌味に突っ込みを入れつつ、後半部分は真剣な雰囲気となった。話しを聞いていたロスの表情も僅かに変わったが「…ふーん。まっ!俺には関係ないけど〜。道中消滅させられないようにお気をつけて〜」と手をヒラヒラさせた。
「本当にお主は……まぁ良い。では行ってくるからの」
「父上。お気をつけて」
「なるはやで帰ってこいよ〜。早く帰りたいから〜」
2人に見送られた魔王は謁見の間を後にする。薄暗い廊下を少し歩いてから立ち止まる。
「…やはり侮れんな。年甲斐もなく久々に"震えた"わい。……儂の目が光っている内は良いが……。全く世話のかかる奴よ」
先程、ロスと睨み合った事を思い出しながらマントを翻し天界へと再び歩みを進めた。
「…さて。じゃあ面倒だけど始めますかー」
謁見の間で残されたロスはエルに声を掛ける。
「はい!よろしくお願いします!」
「何処までやったっけ?」
自分の隣に座れと指を差した。そうしないとエルが座らないからだ。
「えっと…ここです」
ロスの横に遠慮がちに座りながら本を捲り中身を見せる。
「あー…この辺か」
そこに書かれていたのは今の世界になったばかりからの出来事であった。
「んじゃテストな」
「んー…」と少し考えてから、パチンっと指を鳴らすとエルの前に紙が出てきた。
「分かりました!」
「………」
素直に問題を解き始めるエルを頬付きしてじっと見つめている。その視線に気付いたエルは声を掛けた。
「あの…俺の顔に何かついてますか?」
「…うんにゃ〜。真面目だなぁって思っただけだからお気になさらず〜」
「ーー?はい」
再び紙に目を向けるエル。
ー…ハッ。魔族だからなんだ。誰が相手でもぶっ殺してやるよ。…まぁ、お前の忠告は一応頭ん中に入れといてやるよ。お前の手なんか借りなくとも平気だがなー
クロムが言った言葉を思い出し、またフッと笑った。
「この位お利口じゃねぇ方が面白いんだけどな」
「? 何か言いました?」
「いや〜?」
それ以上ロスは何も言わずに鼻歌を歌いながら足を机の上に置いた。
「うえー…面倒くせー……って。ん?天界に行くの?わざわざ?」
「左様」
「あー、だから俺に掃除頼んだって訳ね〜。でもよ?なんでアンタがやんなかったんだよ?道中でやれたろ〜?」
「バカモン。お主みたいに血塗れで天界に入る訳にはいかぬじゃろうて。どうしてもあやつと直接話さなければならん事があってな」
「俺ならそのまま行くけどな〜」
「それはお主にデリカシーがないからじゃ!」
「細かい事を気にするんだな〜。なんにせよそれはわざわざ危険な所へご苦労な事で。…さてジュニア。ここで復習するか。俺はなんでクソジジィにこう言ってるでしょう?」
人差し指を立ててエルの方を見たロスが問題を出した。突然ロスから振られ、驚いたエルだったが少し考えた後に次のように話し始めた。
今の世界は大きく分けると人間界、ここ魔界、天界の3つで構成されている。それぞれの世界には王と呼ばれる存在が1人居るのだが、ある事件をきっかけに、前の世界が消滅したと同時に人間界の王は消滅し、天界と魔界にのみ唯一無二の王が存在していた。天界の王は人間達が神と呼んでいる存在である。魔界と天界はそれぞれ目的が違う為、争いが避けられない部分もあるが基本的には友好的な関係を築いていた。しかしそれは表向きであった。
「ーー王同士と言うよりはその配下の者である天使と悪魔は歴史的に争い続けている事には変わりないから互いの世界には基本的には干渉しないのが暗黙のルールになっている為…ですよね?」
「正解だ。クソガキより覚えがいいな」
「じゃかしぃぞ!…まあしかし。全くもってその通りじゃ。お主が言いたい事は分かっておるぞ。じゃがのう…どうもその天界の者と堕天した者どもで妙な動きをしておってのぅ。彼奴等の事で話しをまとめとかなきゃならぬのだ」
ロスの嫌味に突っ込みを入れつつ、後半部分は真剣な雰囲気となった。話しを聞いていたロスの表情も僅かに変わったが「…ふーん。まっ!俺には関係ないけど〜。道中消滅させられないようにお気をつけて〜」と手をヒラヒラさせた。
「本当にお主は……まぁ良い。では行ってくるからの」
「父上。お気をつけて」
「なるはやで帰ってこいよ〜。早く帰りたいから〜」
2人に見送られた魔王は謁見の間を後にする。薄暗い廊下を少し歩いてから立ち止まる。
「…やはり侮れんな。年甲斐もなく久々に"震えた"わい。……儂の目が光っている内は良いが……。全く世話のかかる奴よ」
先程、ロスと睨み合った事を思い出しながらマントを翻し天界へと再び歩みを進めた。
「…さて。じゃあ面倒だけど始めますかー」
謁見の間で残されたロスはエルに声を掛ける。
「はい!よろしくお願いします!」
「何処までやったっけ?」
自分の隣に座れと指を差した。そうしないとエルが座らないからだ。
「えっと…ここです」
ロスの横に遠慮がちに座りながら本を捲り中身を見せる。
「あー…この辺か」
そこに書かれていたのは今の世界になったばかりからの出来事であった。
「んじゃテストな」
「んー…」と少し考えてから、パチンっと指を鳴らすとエルの前に紙が出てきた。
「分かりました!」
「………」
素直に問題を解き始めるエルを頬付きしてじっと見つめている。その視線に気付いたエルは声を掛けた。
「あの…俺の顔に何かついてますか?」
「…うんにゃ〜。真面目だなぁって思っただけだからお気になさらず〜」
「ーー?はい」
再び紙に目を向けるエル。
ー…ハッ。魔族だからなんだ。誰が相手でもぶっ殺してやるよ。…まぁ、お前の忠告は一応頭ん中に入れといてやるよ。お前の手なんか借りなくとも平気だがなー
クロムが言った言葉を思い出し、またフッと笑った。
「この位お利口じゃねぇ方が面白いんだけどな」
「? 何か言いました?」
「いや〜?」
それ以上ロスは何も言わずに鼻歌を歌いながら足を机の上に置いた。