Devil†Story
「…ッ!」
ジュル…
鋭い痛みが首に走ったかと思えばじわりと温かくなり、耳に血を吸われる不愉快な音が届いていた。
「気持ち悪ぃな…!触んなって言ってんだろ変態がッ…!」
俺が手で払おうとした瞬間、それを嘲笑うかのように更に強い力で締め付けられ、身動きが取れなくなった。
(クソッ…!馬鹿力で締め付けやがって…!!)
逃れようとするが血を吸われるのと同時に段々と力が強くなっていく。それを体感して初めて先程言われた奴の言葉の意味を理解した。
ーー…でもいいの?俺に"餌"巻いてーー
(こいつ…血を飲むと力増すのか…!早くこの状況を打開しねぇとキツいぞ…!クソッ…圧迫感のせいで頭が上手く働かねぇ…!)
逃れようと首を動かせば頭を押さえつけられ、それでも変わらずに体をかなり強い力で締め付けられた。
ーークラッ…
(クソ……目眩が酷くなってきた…!)
一瞬視界が暗くなった時だった。
ー「あー、もし俺が居ない間に吸血鬼とかと戦闘になったら無理すんなよ。一応"あれ"は渡してるけどさ。魔族相手で戦う経験が今までなかったからさ。人間なんかよりも狡猾で読めない動きが多いからな。戻ったら俺がなんとかするからよ」ー
「…!!」
ロスの言葉が頭の中に響いた。クソが…!こんな時まで出てくんなよ…!ロスの姿が頭に過った事により、ある事を思い出した俺はまだ動かしやすい左手をコートの中に突っ込んだ。そして、普段は殆ど使わない…銃を奴の足目掛けて向けて撃った。
ーーバン!
「おっとっと!」
俺が銃を向けた瞬間、奴はそれを避けた。奴が消えた事により体の解放感を感じ、視界が明るくなった。
「クッ……」
だが貧血で体がふらつき頭がぼんやりするのは消えなかった。首を押さえながら奴を見ると少し先の瓦礫に腰を下ろしていた。
「ビックリしたー…まさか銃を持ってるなんてねぇ。危ない危ない」
言葉ではそう言いながら足を組んで余裕がある表情を俺に向けていた。
「クソが……適当な事言いやがって…」
止血するように首を押さえているが、それにも関わらず指の間から血が流れ出ていた。
「やっぱりすごーく甘かったねぇ。さっきも全然抵抗出来てなかったし…やっぱ本当は女の子なんじゃないの?」
美味そうに舌舐めずりをして奴は言った。結構な量を吸われた様で頭がぼやける。意識が少し薄れ、自然に目が閉じそうになるのを無理矢理開けている状態だ。思うように体も動かない。
「あぁ、ごめんねぇ。吸い過ぎたかな?顔…真っ青だよ?」
「うるせぇな…。さっさと決着つけてやる…」
剣のある場所まで下がり、引き抜こうと柄を手に取ったその瞬間であった。
ーーグニャッ
「……!?」
視界が歪んだ。それもさっきの比ではない程に。
「ッ……?」
俺はそれを無視して、剣をとろうとしたが…それは叶わなかった。
「!?」
手が尋常じゃない程震えていた。足も同様で立っている事すらやっとだった。
なんだ……これ…?
俺は咄嗟に剣にしがみついて立ち続けようと抗ったが、剣を持っている手さえ覚束ない。
痙攣……?なんでだ…?貧血だけじゃこうはならねぇだろ…。クソッ……目眩と痙攣が激しすぎて立ってられねぇ………。
俺は思わず膝をついた。視界は何重にも見え、不気味に笑っている奴の顔も揺らぐ。
「ふふ…立ってられないだろ?」
「てめぇ……何しやがった…?」
これは貧血だけの目眩ではない。何かの術をかけられてんのか…?
「クス…。クロム、君は吸血鬼はただ“血を吸うだけ”としか考えてなかったろ?」
「……どういう…意味だ…?身体能力に特化していると…あいつから聞いたが…それの事か…?」
酷い眩暈で頭が回らずスラスラと言葉が出てこない。徐々に動けなくなってきた俺の様子を見た奴は、まるで罠にかかった獲物を見てるかの様に笑った。
ジュル…
鋭い痛みが首に走ったかと思えばじわりと温かくなり、耳に血を吸われる不愉快な音が届いていた。
「気持ち悪ぃな…!触んなって言ってんだろ変態がッ…!」
俺が手で払おうとした瞬間、それを嘲笑うかのように更に強い力で締め付けられ、身動きが取れなくなった。
(クソッ…!馬鹿力で締め付けやがって…!!)
逃れようとするが血を吸われるのと同時に段々と力が強くなっていく。それを体感して初めて先程言われた奴の言葉の意味を理解した。
ーー…でもいいの?俺に"餌"巻いてーー
(こいつ…血を飲むと力増すのか…!早くこの状況を打開しねぇとキツいぞ…!クソッ…圧迫感のせいで頭が上手く働かねぇ…!)
逃れようと首を動かせば頭を押さえつけられ、それでも変わらずに体をかなり強い力で締め付けられた。
ーークラッ…
(クソ……目眩が酷くなってきた…!)
一瞬視界が暗くなった時だった。
ー「あー、もし俺が居ない間に吸血鬼とかと戦闘になったら無理すんなよ。一応"あれ"は渡してるけどさ。魔族相手で戦う経験が今までなかったからさ。人間なんかよりも狡猾で読めない動きが多いからな。戻ったら俺がなんとかするからよ」ー
「…!!」
ロスの言葉が頭の中に響いた。クソが…!こんな時まで出てくんなよ…!ロスの姿が頭に過った事により、ある事を思い出した俺はまだ動かしやすい左手をコートの中に突っ込んだ。そして、普段は殆ど使わない…銃を奴の足目掛けて向けて撃った。
ーーバン!
「おっとっと!」
俺が銃を向けた瞬間、奴はそれを避けた。奴が消えた事により体の解放感を感じ、視界が明るくなった。
「クッ……」
だが貧血で体がふらつき頭がぼんやりするのは消えなかった。首を押さえながら奴を見ると少し先の瓦礫に腰を下ろしていた。
「ビックリしたー…まさか銃を持ってるなんてねぇ。危ない危ない」
言葉ではそう言いながら足を組んで余裕がある表情を俺に向けていた。
「クソが……適当な事言いやがって…」
止血するように首を押さえているが、それにも関わらず指の間から血が流れ出ていた。
「やっぱりすごーく甘かったねぇ。さっきも全然抵抗出来てなかったし…やっぱ本当は女の子なんじゃないの?」
美味そうに舌舐めずりをして奴は言った。結構な量を吸われた様で頭がぼやける。意識が少し薄れ、自然に目が閉じそうになるのを無理矢理開けている状態だ。思うように体も動かない。
「あぁ、ごめんねぇ。吸い過ぎたかな?顔…真っ青だよ?」
「うるせぇな…。さっさと決着つけてやる…」
剣のある場所まで下がり、引き抜こうと柄を手に取ったその瞬間であった。
ーーグニャッ
「……!?」
視界が歪んだ。それもさっきの比ではない程に。
「ッ……?」
俺はそれを無視して、剣をとろうとしたが…それは叶わなかった。
「!?」
手が尋常じゃない程震えていた。足も同様で立っている事すらやっとだった。
なんだ……これ…?
俺は咄嗟に剣にしがみついて立ち続けようと抗ったが、剣を持っている手さえ覚束ない。
痙攣……?なんでだ…?貧血だけじゃこうはならねぇだろ…。クソッ……目眩と痙攣が激しすぎて立ってられねぇ………。
俺は思わず膝をついた。視界は何重にも見え、不気味に笑っている奴の顔も揺らぐ。
「ふふ…立ってられないだろ?」
「てめぇ……何しやがった…?」
これは貧血だけの目眩ではない。何かの術をかけられてんのか…?
「クス…。クロム、君は吸血鬼はただ“血を吸うだけ”としか考えてなかったろ?」
「……どういう…意味だ…?身体能力に特化していると…あいつから聞いたが…それの事か…?」
酷い眩暈で頭が回らずスラスラと言葉が出てこない。徐々に動けなくなってきた俺の様子を見た奴は、まるで罠にかかった獲物を見てるかの様に笑った。