Devil†Story
ロスが呑気にそう思っていた頃。クロムはこの状況をどうにかしようと、ぼんやりする頭をフルに活用して打開策を練っていた。
「クソッ…!」
ポケットに入れた銃に再び手をかけた。
「おや?動けないからその玩具で戦う気かなぁ?」
嘲笑っているヤナの言葉には答えず、クロムは標準を噛まれた患部に合わせた。そして迷わずそこを撃ち抜いた。
ーーバァン!!
「!」
左側の首から肩にかけて血が飛び出した。ボタボタと地面に血が落ちていく。撃った衝撃で銃が手から離れ床に転がった。
「ロスの野郎……戻ってきたら…ぜってぇ文句…言ってやる…」
肩からの大量の出血に加えて毒が注入されているのにも関わらず、クロムはロスに対しての悪口を吐いていた。
「重ね重ね…君には驚かされるよ、クロム」
「ハァッ…ハッ…」
「それで撃って傷を広げる事で溜まってる毒液を出すなんて…考えてもなかなか実行できない事をいとも簡単にやってのけるねぇ。痛くないの?でも残念。既に君の体を巡ってるからその位じゃあ抜けないよ。無駄ーに俺の食欲を刺激しただけだねぇ」
ヤナの言う通りその衝撃で先程よりも意識が鮮明になったが体の震えや脱力感、痺れは殆ど変わらなかった。
時間経てば…解毒出来るか…?クソッ…蜘蛛女の時みたいにはいかねぇか…。
俺の思考を知ってか知らずか嘲笑うかの様に話を続けた。
「そういえば…。あのカスも使ってたみたいだけど…俺のはあのカスの毒の10倍は強いよ。まぁ…利用出来ただけましだけど」
「利…用…?」
「そっ。その毒のお陰で気付かなかったろ?…この甘い香りに」
「まあ、動けるくらいには効いてなかったんだろうけど」と上着をひらひらさせた。
「匂い…だと…?」
「良い匂いだろー?これは俺のお気に入りの魔界の香水。この香水…俺達にとってはなんでもなくとも…君達には少しきついからね。体……いつもより動いてなかったと思うよ」
「!」
そういえば…いくら相手が魔物とは言え……この狭い倉庫内で戦っていて見えなくなる事がそう何度もある筈がないよな。途中で動きが鈍ったのもこいつの馬鹿力や出血のせいじゃなかったのか…。相手が人間じゃないと思って特に感じてなかったが…やられた…。
「今日は重複した毒に体を侵されてるから…いくら悪魔と契約してる君でも抗えないよねぇ?」
「クソ……」
再び襲ってきた強い目眩に必死に目を開けて意識を手放さないよう集中する。狡猾な動きが多いと言っていたが…どいつもこいつも毒とか姑息な手ばっか使いやがって…!クロムは思わず心の中で悪態をついた。…しかしそれがいけなかった。ただでさえ毒が全身を巡っており、集中力が欠けている。ましてや今は戦闘中だ。その一瞬の隙がヤナに大きな動きを与えてしまった。
「フフッ。一気に隙だらけになっちゃったねぇ。まあ安心してよ。君にはまだ―――」
言葉の途中で奴は姿を消していた。
ーーッ…!しまった…!
我に返り、なんとか立ったがそこまでだった。
ーードスッ!
「グッ……!」
いつの間にか目の前に居た奴の強いパンチが腹に入った。今は貧血で毒まで回っている。一気に俺の視界は暗くなってきた。
グラリとスローモーションの中にいるようにゆっくり体が倒れるが分かった。
「――用があるんだからさっ」
意識を失う寸前…暗闇の中で奴の言葉が聞こえた。眼球が意思とは関係なく上を向き始めもう間も無く意識がなくなる寸前だった。
「ーーッ…!!」
目を無理矢理開け、足元に転がっていた銃を倒れた勢い利用し、手を伸ばして取り上げた。
「!?」
腕だけ動かし、少し驚いた奴の顔に標準を合わせて間髪入れずに撃ち込んだ。しかし、撃つのと同時に顔を横に逸らし、そのまま俺のうなじに強烈な手刀り叩き込んできた。
「ッ……!」
そのまま抵抗できずに床に叩きつけられる。
「凄い凄い!まさかこの状態でまだ反撃してくるなんて思わなかったよ。もう少し早く動けていたら当たってたかも。殆ど無意識だったんだろうけど本当に凄い根性だねぇ」
床に倒れ込んでいるクロムの横にしゃがんだヤナはわざとらしい拍手を送りながら殆ど意識のないクロムに語り掛けた。
「ッ……クソ…が……」
あまりの衝撃に流石に意識を保つ事は叶わず、起きた上がろうとした俺の腕からは無情にも力が抜けて、意識を完全に失ってしまった。
「クソッ…!」
ポケットに入れた銃に再び手をかけた。
「おや?動けないからその玩具で戦う気かなぁ?」
嘲笑っているヤナの言葉には答えず、クロムは標準を噛まれた患部に合わせた。そして迷わずそこを撃ち抜いた。
ーーバァン!!
「!」
左側の首から肩にかけて血が飛び出した。ボタボタと地面に血が落ちていく。撃った衝撃で銃が手から離れ床に転がった。
「ロスの野郎……戻ってきたら…ぜってぇ文句…言ってやる…」
肩からの大量の出血に加えて毒が注入されているのにも関わらず、クロムはロスに対しての悪口を吐いていた。
「重ね重ね…君には驚かされるよ、クロム」
「ハァッ…ハッ…」
「それで撃って傷を広げる事で溜まってる毒液を出すなんて…考えてもなかなか実行できない事をいとも簡単にやってのけるねぇ。痛くないの?でも残念。既に君の体を巡ってるからその位じゃあ抜けないよ。無駄ーに俺の食欲を刺激しただけだねぇ」
ヤナの言う通りその衝撃で先程よりも意識が鮮明になったが体の震えや脱力感、痺れは殆ど変わらなかった。
時間経てば…解毒出来るか…?クソッ…蜘蛛女の時みたいにはいかねぇか…。
俺の思考を知ってか知らずか嘲笑うかの様に話を続けた。
「そういえば…。あのカスも使ってたみたいだけど…俺のはあのカスの毒の10倍は強いよ。まぁ…利用出来ただけましだけど」
「利…用…?」
「そっ。その毒のお陰で気付かなかったろ?…この甘い香りに」
「まあ、動けるくらいには効いてなかったんだろうけど」と上着をひらひらさせた。
「匂い…だと…?」
「良い匂いだろー?これは俺のお気に入りの魔界の香水。この香水…俺達にとってはなんでもなくとも…君達には少しきついからね。体……いつもより動いてなかったと思うよ」
「!」
そういえば…いくら相手が魔物とは言え……この狭い倉庫内で戦っていて見えなくなる事がそう何度もある筈がないよな。途中で動きが鈍ったのもこいつの馬鹿力や出血のせいじゃなかったのか…。相手が人間じゃないと思って特に感じてなかったが…やられた…。
「今日は重複した毒に体を侵されてるから…いくら悪魔と契約してる君でも抗えないよねぇ?」
「クソ……」
再び襲ってきた強い目眩に必死に目を開けて意識を手放さないよう集中する。狡猾な動きが多いと言っていたが…どいつもこいつも毒とか姑息な手ばっか使いやがって…!クロムは思わず心の中で悪態をついた。…しかしそれがいけなかった。ただでさえ毒が全身を巡っており、集中力が欠けている。ましてや今は戦闘中だ。その一瞬の隙がヤナに大きな動きを与えてしまった。
「フフッ。一気に隙だらけになっちゃったねぇ。まあ安心してよ。君にはまだ―――」
言葉の途中で奴は姿を消していた。
ーーッ…!しまった…!
我に返り、なんとか立ったがそこまでだった。
ーードスッ!
「グッ……!」
いつの間にか目の前に居た奴の強いパンチが腹に入った。今は貧血で毒まで回っている。一気に俺の視界は暗くなってきた。
グラリとスローモーションの中にいるようにゆっくり体が倒れるが分かった。
「――用があるんだからさっ」
意識を失う寸前…暗闇の中で奴の言葉が聞こえた。眼球が意思とは関係なく上を向き始めもう間も無く意識がなくなる寸前だった。
「ーーッ…!!」
目を無理矢理開け、足元に転がっていた銃を倒れた勢い利用し、手を伸ばして取り上げた。
「!?」
腕だけ動かし、少し驚いた奴の顔に標準を合わせて間髪入れずに撃ち込んだ。しかし、撃つのと同時に顔を横に逸らし、そのまま俺のうなじに強烈な手刀り叩き込んできた。
「ッ……!」
そのまま抵抗できずに床に叩きつけられる。
「凄い凄い!まさかこの状態でまだ反撃してくるなんて思わなかったよ。もう少し早く動けていたら当たってたかも。殆ど無意識だったんだろうけど本当に凄い根性だねぇ」
床に倒れ込んでいるクロムの横にしゃがんだヤナはわざとらしい拍手を送りながら殆ど意識のないクロムに語り掛けた。
「ッ……クソ…が……」
あまりの衝撃に流石に意識を保つ事は叶わず、起きた上がろうとした俺の腕からは無情にも力が抜けて、意識を完全に失ってしまった。